介護×IoT

IT,IoTによる具体的な(在宅)介護への活用方法を発信!

車いすを使うリスクと自立歩行支援

要介護者の自立度と介護者の負担

要介護者が自分で出来ることが減っていけば、当然ながら比例的に介護者の負担は増大します。例えば、今まで自分で排泄できていたのが、できなくなり、おむつをすることになれば、おむつの履き替えという作業、おむつ自体の購入という金銭的な負担が発生することになります。または、歩行できていたのに、杖が必要となり、歩行器が必要となり、車いすが必要といったケースもあります。この移行期には、介護者、要介護者は出来ないことを認めることになります。人、状況にもよるかと思いますが、このときの心理的な抵抗はかなり重くのしかかります。


負担と利便性

負担が増大し、日常生活に支障をきたすほどに追いつめられるくらいなら、間違いなく利便性の高いモノ・サービスを利用すべきです。ただしそれと同時に、安易に利便性の高いものを利用することのリスクも考えるべきです。私の兄は最終的には外では車いす、家では介助しながらの歩行器で移動していました。いずれ、家でも車いすになるだろうと予想し、家(あがりがまち)への乗り入れも段差解消機を使うことも想定していました。ただ、その時期は可能な限り、遅らせようと考えていました。なぜなら、車いすを使うことにより今まで使っていた筋力の低下、それによる将来的な寝たきりになることの不安があったためです。そのため、歩行器でなんとか歩行しながら、転倒しないように介助するというスタイルになっていました。


免荷式リフトPOPOと自立支援型起立歩行アシストロボット

なるべく自立で歩行できる努力をしてほしい+転倒はさせたくないというものを探した結果、2つの製品を見つけました。住宅総合メーカーとして有名な大和ハウスは近年、ロボット事業として介護に使える複数の製品を出しています。(大和ハウスが開発しているわけではなく、販売代理店となっているようです。)

そのひとつに「免荷式リフトPOPO」があります。POPOは歩行の負担、転倒するリスクを軽減する歩行訓練ツールです。ただ、施設で使われることを想定しているのか、家で使うには横幅が広すぎて無理だと判断しました。

www.daiwahouse.co.jp



もうひとつはPanasonicの「自立支援型起立歩行アシストロボット」でした。
HP見る限り、高齢者の起立・着座・静止(衣服着脱時)の状態を検知し、足りない力をモータでアシストすることで
移動、移乗、排泄時などの高齢者の自立的動作を支援するとのことで、とても興味を持ち、
実際、イベントにて実機も見に行きました。
ただ、まだ実用化していないのか、販売等はしていないとのことでした。

news.panasonic.com


身近なもので車いすを代替

次に考えたのは、全てを車いすに変えなくても、負担に感じる部分的に車いすのように移動させることができないかということでした。特に食事等の際のテーブルいすでの押し引きが体重が直にかかることもあって、負担に感じていました。いすのすべりをよくするようなものはないか調べ、「カグスベール」という商品をみつけました。

 

 

テーブルいすに取り付け、すごく押し引きが楽になりました。またどうしてもしんどいときには、いすをそのまますべらせ車いすのように使用していました。(床が傷ついたかとは思いますが。。。)

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まとめ

今考えると、通所サービスを利用して、通所施設で歩行訓練をし、家庭では車いすを利用するという選択もあったかもしれません。しかし、日常的な行動を変える際の心理的な抵抗は重かったように思います。負担量とトレードオフで考えるべきですが、なるべくなら生活スタイルを変えずにまずは身近なもので工夫して生活を送ってはいかがでしょうか。

コミュニケーションロボットを活用したレクリエーションは普及するか

レクリエーションの目的

老健、特養などの入所施設やデイケア、デイサービスの通所施設で行われているレクリエーションは主に以下の3つを目的としています。

  • 体を動かすこと
  • 脳を動かすこと
  • コミュニケーションをとること

体を動かすことで身体機能の維持や向上を図ります。体を動かさないと筋力の低下や介護度の進行のリスクが高まるためです。具体的なレクリエーションとしては、体操やダンスなどです。

 

脳を動かすこととは、脳を活性化させることです。いわゆる脳トレですね。認知症の予防や認知症症状の進行を遅らせる効果が期待されます。手先を使った、おりがみや工作などがこれにあたります。

 

コミュニケーションをとるというのは、レクリエーションは一人で行うものもありますが、他の高齢者とともに歌を歌うなどといったみんなでなにかをすることにより楽しみ、達成感を共有します。特に独居の在宅高齢者はどうしても引きこもりがちになりやすいため、他人とのかかわりにより社会との接点やいきがいといったものを持つようにしく狙いがあります。

 

コミュニケーションロボットとレクリエーション

介護分野でコミュニケーションロボットの活用が期待されているのは
こういったレクリエーション支援です。

 

富士ソフトのパルロは介護に特化しているだけあり、レクリエーションの種類が豊富です。HPでは、「歌やダンス、クイズなどのレクリエーションを行なうことでご利用者様の介護予防のお手伝いをしています」と記載されています。


Palro(パルロ)

運動でストレス解消!ゲームの高齢者レクはこちら!【PALRO(パルロ)】

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他には「Sotaレク」といったものもあります。

flets.com

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コミュニケーションロボットとしての表現

コミュニケーションロボット 人型が多いです。表現方法として一番シンプルなのは言葉です。人型であれば、言葉の他に身振り手振りも使えます。ただ、みなさんも経験あるように、人にモノを伝えるというのは言葉と身振り手振りだけでも難しい場合が多く、そのため、例えば会議などでは図などの表現も使っているのではないでしょうか。

単純な人型コミュニケーションロボットでは図を表現できません。そのため、最近ではTapiaやUniboのように頭部がモニターとして構成され、(他には、例えばPepperはもともとタブレットを胸部にもっています。)モニターでロボットの顔の表現をしつつ、図などを表現するといったことも可能になりそうです。

mjirobotics.co.jp

www.unirobot.com


また、人型であっても、それこそヒトと同じように、テレビや他のモニターを制御して
図示するといったことも、いずれ出来るのかもしれません。単純に、ロボットに赤外線リモコンを搭載し、テレビを操作するようなものはすでにUniboでは可能のようです。

現状でも、AmazonのFireStickTVやGoogleのChromeCastのようにテレビに接続し、
ネット経由で好きなコンテンツをテレビで見れることもできるので、今後はそこから発展し、コミュニケーションロボットからそれを操作して、テレビと合わせて、多種多様な表現ができていくようになっていくのではないでしょうか。


まとめ

効果が定量的にわからないなど課題はまだまだありますが、いずれにしろ、介護分野にコミュニケーションロボットのようなICTが活用されるのは必至です。昨今のスマホでのアプリ開発のように、コミュニケーションロボットのアプリ開発者も増えていくでしょう。私自身も勉強して、コミュニケーションロボットのアプリ開発者の一員になっていこうと思います。

レビュー「PLANEX ネットワークカメラ(スマカメ)CS-QR10」

日本製品のネットワークカメラ

私が初めて購入したネットワークカメラは、Planexのスマカメです。Amazonのタイムセールで5千円代だったように記憶しています。それからもう1台購入し、今は2台持っています。

 

 

スマカメの特徴は

なんといっても、設定方法の簡単さです。スマカメ背面のWPSボタンを押し、ルーターWPSを押せばすぐさま使えます。あとはスマホタブレットにアプリをインストールし、カメラを追加すれば、映像を見ることができます。現在のネットワークカメラはこのような簡単な設定方法をウリにしている製品が多いです。少し前までは、NAT越えやDDNSなど、なかなか設定方法が難しく、設定の途中で挫折してしまうといったことも多かったように思います。

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スマカメの機能は

スマカメは複数のシリーズが用意されており、それにより、マイク(音声が聞こえる)だけだったり、暗視撮影(暗闇でも撮影可能)、スピーカー(スマホから話しかけられる)が内蔵されていたりします。機能が増えれば増えるほど価格も高くなり、6千円程度~1万3千円程度の幅になります。以前の記事で私が提示した条件の中では、価格面やパン&チルトといったカメラの可動ができないですが、日本製らしいやさしいUI面が魅力的に感じられます。

 

ayanokouji777.hatenablog.com

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見守り機能

動体検知の機能ももちろんあり、しかもそれが見守り機能として簡単にON/OFFできるような機能が搭載されています。

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玄関先にスマカメを

先に記載したようにスマカメにはパン&チルトの機能がありません。そのため表示される角度は固定になってしまいます。部屋の中を見渡したいとか、高齢者やペットなど動く被写体をフォローしたい場合にはパン&チルト可能なネットワークカメラのご使用をお勧めします。

 

 

ayanokouji777.hatenablog.com

私はスマカメは玄関先に設定しています。玄関であれば、そんなに広くもないですし、固定でも十分事足ります。防犯目的、徘徊防止など、玄関にカメラを置きたいといった用途にはぴったりだと思います。

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写真で使っているクリップ型のスタンドは別途購入できます。

 

 

評価

私がもとめる機能をすべて持っているわけではないですが、日本製という安心感、シンプルな設定など魅力的な製品であることは間違いないです。ネットワークカメラを購入検討する際には、選択肢のひとつにすることをおすすめします。

 

MESHで見守り

みまもりホットライン

現在、雨後のタケノコのごとく、見守りシステムと呼ばれるものが増えています。

ayanokouji777.hatenablog.com

私が初めて、見守りシステムというものを知ったのは、象印マホービン株式会社の「みまもりほっとライン」です。

www.mimamori.net

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日常的によく使われるポットに着目し、ポットが日々使われたら、介護者にメールで知らせるサービスです。使用時間も把握できるため、毎日のライフスタイルと違った行動があれば、気付くことも可能です。IoTの構成に当てはめると、ポットを使用(電源ONなどの行動もセンシングしています)=センサー、ポットから使用状況を送信、管理=クラウド、介護者にメールを送信=アクチュエーターとなります。IoTに当てはめましたが、IoTなどという言葉がなかった2001年にみまもりホットラインのサービスは開始しています。実に16年もの前からサービス開始していると思うと、感慨深いものを感じます。

 

みまもりホットラインのコスト

HPで確認する限り、みまもりホットラインは、初期費用5,000円(税別)で、 後は月々3,000円(税別)となり、ポット自体はレンタルとない、この料金に含まれています。クラウドへの情報送信は、ポット自体に通信モジュールが内蔵されており、通信料も毎月の金額に含まれています。

 

MESH

IoTを簡単に実現できる「MESH」という製品があります。

meshprj.com

ブロック形状で、明るさや人感などの各種センサーになっています。

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[ソニー] Sony MESH 7タグセット MESH-100B7A

[ソニー] Sony MESH 7タグセット MESH-100B7A

 

 

MESHで実現する見守り

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Amazon Echo(アマゾンエコー)のような音声認識は介護の役に立つか

Amazon Echo

最近ネットニュースなどでは比較的よく見るようになったAmazon Echoという製品があります。声でAmazonに注文が可能です。

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amazonより引用

日本では2017/02現在未発売ですが、年内に発売かもというニュースがでています。

www.newsweekjapan.あはjp

また、先日は誤発注したニュースもあり、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

roboteer-tokyo.com

 

音声認識は最高の入力方法か

誤入力のリスクもあり、声で注文しなくても、PCやスマホがあるので不要という考えもあるでしょうが、私は確実に音声認識は広まると考えています。特に高齢者はPCやスマホを使いこなすのも難しいでしょうし、声ですぐ注文ができることのメリットは計り知れないです。またAmazon Echoは他製品と連携することにより、他製品を操作することも可能です。例えば以前の記事でもご紹介した、PhilipのHueは連携可能で、Amazon Echoに照明つける旨をいうと、照明がつくようです(具体的に、日本語ではどう伝えることになるでしょうか)

 

ayanokouji777.hatenablog.com

 

医療、介護での音声認識、音声入力

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リショーネPlusは特殊寝台(ベッド)か車いすか

福祉用具貸与単位数 貸与種目別割合

前回の記事のとおり、福祉用具貸与には対象となる種別が存在します。

ayanokouji777.hatenablog.com

これらの種別の割合は以下の通りです。

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一般社団法人シルバーサービス振興会 資料より引用。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000136658.pdf

 

特殊寝台と車いすで約6割を占めています。

 

離床アシストロボット リショーネPlus

Panasonicが発売する、リショーネPlusという製品があります。

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紛失防止タグは徘徊防止の役にたつのか

見守りタグ

以前の記事にも記載しましたが、現在各地域で地域の徘徊老人のための見守りサービスの実証実験が行われています。

ayanokouji777.hatenablog.com

こちらで紹介したALSOKのシステム構成は以下の図のようです。

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ALSOK HPより。

高齢者の靴に見守りタグを埋め込み、見守りタグからボランティアのスマホBluetoothで接続、スマホからクラウドの見守りタグアプリサーバーへ位置情報を送信し、サーバーから介護者へ情報を伝えることにより、高齢者を見つけます。

 

紛失防止タグ

前述した見守りタグと同原理の、紛失防止タグというものがあります。こちらでしたら、現状気軽に購入することが可能です。

 

 こちらのTrackRでしたら、Amazonでも購入できますし、SoftBankクラウドファンディング「+Style」でも購入できます。

plusstyle.jp

もっと身近では最近、ヨドバシカメラの店舗でもMAMORIOという商品が購入可能です。

robotstart.info

 

TrackR

私は+StyleでTrackRを購入してみました。

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財布につけてみました。

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スマホにアプリをインストールし、タグを追加します。

 

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スマホタグが一定距離を離れると音がなるように設定します。

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実際に音がなる様子は以下の動画をご覧ください。

www.youtube.com

 

実際の感想は

一定距離が離れていた場合に音がなるので、気づくかなと思いきや、町中だと気づきにくいかもしれません。万が一、紛失した際は、最後に接続していた地点をスマホで保持していますので、それをめどに探し、スマホでタグから音を鳴らすように操作できますので、音を頼りに探せるかなと思います。ただ、Bluetooth接続というのが結構まだまだ信頼性に欠けるといいますか、一定距離が離れていても音がならないときがたまにあるようです。

 

徘徊防止の活用にはまだまだ課題

紛失物なら基本的には動かないので、比較的わかりやすいのですが、徘徊の場合は自律的に移動しているので、探すのは困難を極めます。実際、私が子供のころに兄がいなくなったことがありましたが、そのときに両親の気持ちは耐えられなかったでしょう。交通事故にあってたらどうしようか、なにか事件にまきこまれたらどうしようか。そのシステムでは、同アプリをスマホにインストールしている人がいたら、そこからもサーバーに情報を送れます(前述の見守りタグのボランティアと役割と同様)。そのため、このようなシステムが普及すればするほど、見つかる可能性が高くなります。将来的にはタグと接続しサーバーに情報を送れるようなものが電柱などに配置されるのではないでしょうか。

 

まとめ

まだ万全とは言えませんが、3千円ほどですし、まずは紛失防止として使ってみて、介護など、見の周りに役立ててみてはいかがでしょうか。