介護×IoT

IT,IoTによる具体的な(在宅)介護への活用方法を発信!

紛失防止タグMAMORIOで高齢者を見守る!?

社会問題化する認知症者のひとり歩き(徘徊)

近年、認知症によるひとり歩き(徘徊)が社会問題になっています。

警察庁によると、認知症またはその疑いによる行方不明者が、年間で1万5千人以上存在すると報告されています(*)。また近年では、ひとり歩き中の高齢者が電車にはねられ死亡し、鉄道会社側が家族に損害賠償を求めた例も記憶に新しいです。

*参考:警察庁平成 28年における行方不明者の状況

 

はじまりつつある見守りサービスの実証実験、しかし実用化にはまだ遠い?

そのような社会問題に対して、さまざまな取り組みがなされ始めています。

認知症ひとり歩きによる事故や行方不明者の増加を防止するため、現在、さまざまな市町村、企業、大学で見守りサービスの実証実験を行っています。それらの見守りサービスの、基本的な仕組みは以下のとおりです。

1.介護者はスマホに専用アプリをインストールし、タグ(ビーコン)を登録する。
2.高齢者にタグを持たせる(靴底にタグをつけるようなことも。)
3.街中にあるタグ感知器が高齢者のタグを感知し、タグの位置情報をサーバーに送る
4.街中にいるボランティアのスマホ(あらかじめ専用アプリをインストール済み)もタグを感知し、タグの位置情報をサーバーに送る
5.サーバーから介護者のスマホ高齢者の居場所を通知する

www.alsok.co.jp

 

こうした取り組みは、認知症者の増加にともなって、今後全国に広がっていくと考えられます。しかし、現時点ではまだ実証実験段階ということもあり、実際に活用するにはもう少し時間がかかりそうです。

この見守りサービスと同様の仕組みをもっているのが、実は今回ご紹介する「紛失防止タグ」なのです。

 

すぐ真似できそうな代替案の紹介

紛失防止タグとは、スマホや財布、鍵などにつけておくことで万が一落としたとしても発見率を上げてくれる画期的な製品です。
どういう仕組みかというと、紛失防止タグとスマホBluetoothなどで接続されており、落とした際にスマホとタグの距離が一定以上離れた場合に通知してくれるというものが一般的です。

実際に使っている紛失防止タグの紹介

私が実際に使っているのは、「MAMORIO」という製品です。
ヨドバシ.comやAmazonでいますぐ購入可能です。

 

 

f:id:ayanokouji777:20180526115632j:plain

一般的な鍵より小さいMAMORIO

 

ちなみに以前は「TrackR」という製品を試してみました。

ayanokouji777.hatenablog.com

 

 

MAMORIOの紹介

さきほどの仕組みのとおり、この製品はアプリを使っているユーザーや感知器が多ければ多いほど見守りの目が増えることとなるため、見つけられる可能性が高くなります。

また、MAMORIOはAmazon Launchpadというスタートアップ商品扱うカテゴリでランキング大賞2017に選べれており、大手鉄道会社や商業施設等にMAMORIO Spotと呼ばれる感知機器の導入実績があります。

support.mamorio.jp

 

紛失防止タグの活用方法の考察

介護を実際にしている場合、突発的な対応は日常的に発生します。たとえば、スーパーに要介護者と出かけた際に、トイレに寄ろうとしたが、バリアフリー化したトイレがなかったために、車いすを離れたところに置いたら、車椅子を紛失したことが実際ありました。
今なら、車いすにも紛失防止タグをつけていたら防止できていたかもしれません。

MAMORIOではできませんが、他製品(TrackRなど)でスマホでの操作により、タグから音を鳴らせる機能があります。例えば、転倒しそうになっている要介護者を補助するために、そのとき手にしていたものに意識がいかなく、気がつけば先ほどもっていたものはどこに置いたか忘れることが私にはありました。
そのとき、持っていたものにタグがついていたら、音を鳴らし探せていたかもしれません。

見守りサービスの代替として、紛失防止タグを家族の靴や上着などに着けておけば、見守りの役割を果たしてくれるかも知れません。

 

実際に使ってみたメリット・デメリット

・メリット

小さいサイズのため、いろんなものにつけられる
私は鍵につけて使っています。サイズが小さいので違和感なく持ち運べます。

f:id:ayanokouji777:20180526120327j:plain

MAMORIOのアプリ画面

 

 

・デメリット

Bluetooth接続が途切れるときがある。
スマホBluetooth接続する製品はよくあり、イヤホンなどは普及していると思いますが、環境やスマホとの相性により、なかなか接続できなかったりすることも多く、MAMORIOが近くにあるのにもかかわらず、「近くにありますか?」という通知がくることも多々ありました。Bluetoothイヤホンでたまに音とびするのも困りますが、MAMORIOの場合は、近くにあるのに、たびたび通知が来ることがあり、そうなると結果的に信用しなくなり、本当に紛失したときの通知も見逃してしまう恐れがあります。

 

f:id:ayanokouji777:20180526120752j:plain

近くに会っても、「近くにありますか?」と聞いてくる

 

アプリがいつのまにか終了していることがある。
スマホ上のアプリはバックグラウンドで絶えず起動し、タグとBluetoothで通信を行っています。そのため、スマホによっては数時間たつと、メモリが圧迫したためなのか、いつのまにかアプリが終了していることがありました。紛失した際に、数時間前の位置情報しかなく、それが紛失したときの最後の状態なのか、紛失する前のアプリが終了したときの状態なのか判断ができなくなります。

 

電池交換のタイミングがわからない。
「バッテリー診断」という機能はありますが、私が試した限りでは表示されたことがありません(これも前述のBluetoothの接続相性?)。バッテリー交換は、MAMORIOがBluetoothを発信しているかどうかで判断しているので、遠距離介護の場合だと、要介護者が持っているMAMORIOの状態を把握することができません。私が使った経験上だと8ヶ月ほどで電池がきれました。

 

私の結論としては、現状見守りサービスの代替としては使えません。Bluetooth接続が途切れるときがある」「アプリがいつのまにか終了していることがある」というデメリットは見守りとしては致命的だと考えるためです。また、モノならともかく、見守り対象はヒトであるため、動くとさらに「Bluetooth接続が途切れるときがある」可能性も高いです。

ただ、紛失防止としては使えそうです。デメリットであげた、「Bluetooth接続が途切れるときがある」「アプリがいつのまにか終了していることがある」というのは、タグと自分のスマホの関係でのことで、MAMORIO Spotのような感知機器が公共機関にひろまっていけば、そこから自分のスマホに教えてくれる機能は大変便利です。

 

まとめ

まだまだ使い勝手が良いとは言い切れず、正直お守りのような感覚となっているのが正直なところです。ただ、いろんなところで実証実験を行い、精度が向上していけば、ユーザー数や感知器の設置が増え、見守りや紛失防止に役立てられるはずです。まずは紛失防止として、使ってみてはいかがでしょうか。